たぶん恋、きっと愛


友典は。

まさか雅は校内から出て行ったのでは、と思い至るまでに、ずいぶんと時間がかかったせいで、完全に行方を見失っていた。


雅の行きそうな場所など、皆目見当がつかない。


笠島家か、宇田川家。

ライブハウスと、公園?駅?



彼女の校外の友好関係や、頼るだろう人物も、ひとりしか思い浮かばないし、その職場も。

わからない。


教室には、いつものアルマーニの鞄が残されていた。


午後の授業が始まっても雅が戻らない事を見た友典は、意を決したように、雅の鞄の中身をぶちまけた。



授業中の、その真っ只中で。


茫然と見つめる雅のクラスメイトを完全に無視し、授業を中断した英語教師すら、友典のただならぬ様子に、口を噤んでいた。
 


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