たぶん恋、きっと愛
移動、しなきゃ。
ついふらふらと来てしまったけれど、きっと迷惑かける。
現に、1つの席を占領して、お茶とお菓子を頂いてしまった。
1度来ただけなのに、泣いていたものだから、マスターにも気を使わせてしまっている。
「あの…あたし、帰ります」
いつまでも居たら、申し訳ない。
行くところなんか無いけれど、ひとまずはここを出なければ。
「いえ、あと15秒、どうかそのままで」
「…15秒、ですか?」
にこり、と笑ったマスターが、ガラスの瓶からシナモンスティックをつまみ上げた。
「今、いらっしゃるようですから」
彼の好きなチャイ風のミルクティを淹れてあげましょう。
「お迎えですよ」
少々乱暴に、店のドアが開き、マスターは、いらっしゃい、と穏やかに。
飛び込んできた、向かいの美容室に勤める、妖艶な青年の。
切羽詰まったような目をみつめて、微笑んだ。