たぶん恋、きっと愛


灰青の目は、そんな雅を面白そうに見下ろし、苦笑する。



「俺と宇田川は笠島の実家。鷹野はここ。雅は鎌倉の実家だ。宇田川が送り届ける。そう友典に言っとけ」



赤いダッフルコートは、よく似合う。

質は、良い。
カシミヤと毛の混合。

さほど高価なものとは思わなかったが、雅に価格を言えば、通学には勿体無いなどと、着なくなるかも知れない程度の、品だろうと思う。


鷹野の選ぶものに、間違いはない。
必ず、雅を引き立てる。

腹立たしいほどに。




「鷹野さん、ここでひとり?」


「……お前は帰れよ?」



鷹野さんがひとりじゃ寂しいからあたしもここに居ます、と、もう聞こえた気がして、凱司はつい、先に返事をした。



「…正月くらい顔出して来い」


「でも」

「でもじゃねぇ」


とにかく、今はそろそろ学校行け、と。

凱司は、綺麗に櫛の通された雅の髪を崩さないように、耳の後ろへと、指を通した。
 


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