たぶん恋、きっと愛
に、と笑う息吹の腕が、雅の首の後ろに巻き付く。
「…あんた、一樹好きだろ」
「……うん」
「俺の目が、一樹に似てたか」
「…ん」
「すげぇ泣きそうな顔して呼んだもんな」
くくく、と笑う息吹に、雅の目が僅かに揺れ、まるで心を許したかのように、微笑んだ。
「似てるだけで、鷹野さんじゃないのにね」
「…俺だって“鷹野”だぜ?」
すげぇ興奮した、と。
まるで恋人同士のように。
額を寄せて笑う雅が、首の後ろに突き付けらた刃先を、ゆっくりと掴んで、身を起こした。
「ごめんなさい、価値なくて」
思いのほか、乱暴ではなかった息吹。
息吹は雅越しに、弟を見る。
雅は息吹越しに、鷹野を見た。
奇妙な感覚は、血の滲んだ雅の左手に、プラチナを取り戻した。
全てをシャットアウトしたかのような、非現実的な感覚が薄れてくるのを恐れるように。
雅は、ひと房残った長い髪を、息吹の手に握られたままのそれで躊躇なく切り取ると、すっくりと。
顔を上げて、立ち上がった。