たぶん恋、きっと愛


「…他の人の…匂いがします」

「…雅ちゃんだって、するよ」


「…………」

「俺と似た奴の、匂いがする」




俺ね、と、鷹野もまた、声を潜めて囁いた。


「こんなに、後悔したの、初めてだ」


大事なもの、手放しておいて。

凱司が掴んでるはずだ、って言い聞かせて。

雅ちゃんが、壊れちゃったみたいに笑わなくなった事、どこかで俺…いい気味だ、って思ってた。


もしかしたら。

追ってくれるのを期待、したのかも知れない。


よくもあんな態度、取れたもんだ、って。

すごく…後悔した。




鷹野の指が、短くなった雅の髪をすくい上げる。

冷たいコンクリートに座り込む雅の、髪をすくい上げる。


抱きついてくるわけでもなく、泣く訳でもなく。

ただ、血の気の引いたまま、髪を触られる雅が。


意を決したように、顔を上げた。
 


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