たぶん恋、きっと愛



「…ゃ、待っ……」


黙り込んだ凱司の息遣いが寝息に変わる。

変わらずに握られている左手のせいで。
向き合う形の、雅の自由な右手は残念ながら、自分の下側だ。

左手は一向に外れない。


起こしては可哀想、と思ってしまったから、乱暴に指を引き剥がす事もしにくくて。


じりじりと離れようと、体をずらしていくけれど、ふと。

凱司の右手が、雅の腰に回された。


「…ひぁっ…」

「………落ちる」


落ちない!
落ちないし、むしろ落ちたい!
誰かと絶対間違えてる!

絶対に目ぇ覚ましたら怒られるっ!

ぐいっと抱き寄せられ、内心のそんな悲鳴を上げられないまま、雅は再びシーツにくるまれた。




どうという事も、ないはず。
ただ、一緒に寝ているだけ。

朝も遅くなっているこの時間に、未だ酔っぱらいな、凱司と。



誰かと寝る事に抵抗はない。
のに。

妙に緊張する。

今まで、何もしないから、と言った所で本当に何もしなかった男はいない。

行為に及ばなくとも、“何か”は、した。


だけど、だけどこの人は。
何もしないのだろうと、思う。


本当に。




 
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