百花繚乱


「伊織くんは?」

何が、と聞きかけてやめた。
彼女が僕の袋を指差したから。


「C版、買わなかったでしょ?」


見てたんだ。


そう言いかけてまたやめた。
僕も見てたんだから、一緒だ。


「ね?」

淡々とした彼女の口調に
妙な安心感を覚え始めた。
僕も一回袋に目を移し

また彼女を見て言った。


「僕も、一緒。」



彼女は、微笑んだ。

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