”オモテの愛” そして ”ウラの愛”
食後のコーヒーを飲んでいると、インターホンが鳴った。
「迎えだと思う」
出ようとした涼を制した。
「じゃあ」
そのまま出て行こうとする。
「お前、荷物は」
「あ、うん。
いらないんだ」
もの凄く不審な顔をしている涼に綺樹はフォローが出来なかった。
世界の選ばれたメンバーで構成されている組織。
定期的に開催される会議には、メンバー以外でも声がかかることがある。
だがそれに出席することを家族にさえ言えない。
持ち物も最低限で全て用意される。
そしてその会議で決めるのは世界の方向性だ。
この間はアメリカの大統領だった。
今回はEUか。
スペインの経済は今や危うい。
そして国家よりも王家よりも実は潜在的財産があるウルゴイティ。
呼ばれたのはその辺りの理由だろう。