In the warm rain【Brack☆Jack3】
「…あたしさ…」


 暗い部屋で、天井を見つめながら独り言のようにミサトは言った。

 レイは黙って聞いている。


「日本に、行ってこようかと思ってるんだ」

「…日本に? どうして」

「ちょっとね、昔世話になった焼鳥屋のオヤジに会いたくなっちゃった」

「…そう」

「うん。あいつは情報通だからね、今日の狙撃手のこと も、もしかして聞けるかもしれない」

「………」


 レイからの返事はなかった。

 もう眠りについたのかもしれない。

 ミサトも目を閉じる。

 本当は、今日の狙撃手が素人ではないことくらい、わかりきっていた。

 現場に行ってライフルを構えて、あらためてわかった。
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