In the warm rain【Brack☆Jack3】
Act,5

【1】

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 ミサトは、エアポートにいた。

 帽子とサングラスが功を奏したのか、ここまでは無事に辿り着くことができた。

 あれから何時間も寝ていない筈なのに、起きたらレイの姿はなかった。

 もう何度も利用して、見慣れたはずのエアポートからの景色を、ミサトはあらためて見つめる。

 高層ビル軍が立ち並び、表向きは綺麗に見えるこの街も、ひとたび裏に入れば犯罪が日常的に起きているダウンタウンが広がる。

 いつかレンが、この綺麗な表の街を“偽りの世界”と言っていたが…今は、その意味がわかるような気がする。

 果たして今このタイミングで、この街を空けるのが正しいことなのかどうかはわからないが。
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