In the warm rain【Brack☆Jack3】
「もしもし?」

『ユイさん? 私の声、わかるかしら?』


 聞き覚えのある声だった。

 ミサトと一緒にいるはずの、レイという女だった。


「…えぇ。覚えてるわ」

『そう、嬉しいわ』

「ミサトは? 一緒にいるんでしょ?」

『そのことで一つ、報告があるの』

「…何かしら。まさかミサトの身に何か起こったんじゃないでしょうね?」


 ユイは、受話器のコードを握り締めた。


『狙われるのは毎日だけど、私もミサトも、その程度で怪我をするようなヘマはしないから』

「報告っていうのは?」


 先を急かすように、ユイは言った。


『ミサトは、日本へ行ったわ』

「…日本へ…?」


 ユイは眉をひそめた。

 同時に、頭の中で色々な可能性を計算している。
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