In the warm rain【Brack☆Jack3】
「さァな…ただ…」


 レンはそう言って、軽く目を閉じた。


「あいつは、唯一の親友の事を気に掛けてた…」

「唯一の…親友?」

「ミサトだ」


 これでようやく、全部の糸が繋がったような気がした。

 エイジが『AGORA』を辞めてすぐに働き始めた女。

 彼女がシャンで、あれだけ素性を調べても正体が分から なかったというのも、納得出来た。


「とにかく今は、身体を休めて…」


 半ばため息まじりに、ユイは言った。

 そんなユイの心情を察してか、レンはこっちに視線を向けて笑う。


「朝まではな」

「そんなの承知してるわよ。言って聞くあなたじゃないしね」

「だな」


 至極当たり前のように肯定されて、もう何も言い返す言葉はなかった。
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