In the warm rain【Brack☆Jack3】
「間に合った、ってどういう事?」

「どっかのバカが、命を投げ出してまでこのクソ組織のボスと対決しようと思ってるんじゃないかって思ってね 」


 そう言って、ミサトを抱いたまま、エイジは軽くウインクする。


「図星だろ」


 答えることは出来なかった。

 だがその沈黙は、肯定の意を示している。

 どこからか、警告音が聞こえて来る。


「船底前方の何層かに浸水です」


 部下の報告に、シュキは操舵室のモニターに目をやる。


「ユイお嬢様は、エンジンを壊さずにこの船ごと沈めることにしたようだね」


 シュキは静かに言った。

 ミサトは態勢を建て直し、再び銃を構えている。


「エイジ…撃たれたの?」


 視線をシュキから外す事はせず、そのままの姿勢でミサ トは聞いた。


「オマエの怪我に比べたら、どうってことねェ」


 この船はいずれ沈む。

 その事実が、周りの戦闘員達に更に動揺を与えていた。

 さっきまでとれていた統制が、崩れ始めている。
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