In the warm rain【Brack☆Jack3】
 ミサトは振り向かない。

 ここで少しでも油断を見せれば、こっちに向けられるどの銃口が火を吹くか分からない。


「帰る場所…ううん、場所じゃない、あたしは…あたしが帰ってもいい、かけがえのない仲間を見つけたんだよ」


 シュキはその言葉を聞いて、笑顔を見せた。


「…そうか」


 生まれた時からミサトを見ていた、そんなミサトが初めて言った“自分”の意志。

 シュキの俯いた微笑みは、そんなミサトのことを嬉しく 思っているような笑顔だった。


「だが」


 そして、シュキはゆっくりと、ミサトと、その後ろにい るエイジやレン、ユイに視線を向ける。


「私も私なりに信念を持ってこの組織を存続させてきた…そしてこれからも存続させていくには、君達の存在は 邪魔なんだ」


 一変してシュキの表情は険しいものになった。

 その言葉で、周りの戦闘員達は再び四人にしっかりと照準を合わせる。
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