In the warm rain【Brack☆Jack3】
終章
【終章】




 『AGORA』と書いてある看板が、秋の風に揺れていた。

 前のように料理のメニューは豊富ではなくなったものの、何とかミサト一人でもこの店をやっていく事が出来ていた。

 今、エイジが教えてくれたカニ玉は、ダウンタウンではちょっとした名物になっていたりもする。


「ハァイ。頑張ってる?」


 カランコロンと店のカウベルが鳴り、ユイが顔を出した。


「何とかやってるよ。飲んで行くんでしょ、ユイ 」


 ミサトはそう言いながらも、既にグラスを用意している。

 そんなことは気にする様子もなく、ユイはカウンターに座った。
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