In the warm rain【Brack☆Jack3】
「いつ、出ていくんだ?」

「…明日、だな」

「それからどうする」


 ここで初めて、エイジの言葉が途切れた。

 面と向かっていなくても、長年連れ添った相棒の心情は、手に取るようにわかる。

 今エイジがどんな顔をしているのかさえも。


「――…ユイの、ところへ行くさ」


 レンはもう一口ビールを飲もうと缶を口に運び、ビールがなくなっていることに気付いて眉をひそめた。


「ミサトはいいのか?」


 空になった缶をぐしゃりと潰してテーブルの上に置き、レンは言った。


「いいのか? 何で俺にそんなこと聞くんだ?」

「…テメェのその素っとぼけた口調、たまに羨ましくなるぜ」

「俺の口説き文句の10%でも、テメェが使えたらな。人生もっとバラ色だぜ?」


 エイジはそんなことを言いながら、缶ビールを片手にリビングに戻り、それをレンに渡す。
< 27 / 221 >

この作品をシェア

pagetop