In the warm rain【Brack☆Jack3】
☆  ☆  ☆



 その日の昼間、ミサトはユイのオフィスに顔を出していた。

 相変わらず忙しそうだったが、そんなことはお構いなしに、ミサトは我がもの顔でソファにふんぞり返っている。


「…それで?」


 鳴り続けたオフィスの電話も一段落したところで、ユイはかけていた眼鏡を外しながら聞いた。


「どうしたの、そんなにイライラして?」

「してないよ」

「なら、そんな仏頂面はやめてもらえないかしら? 一応仕事中なのよ、私」


 苦笑しながら、ユイは言った。


「邪魔して悪いとは思ってるよ。だけど今日は、なんだか家にいたくなかったんだよね」

「できれば、その理由をきかせてもらえないかしら? でないと、私も対応のしようがないのよ」


 なんなのよその冷静さは、とミサトは文句を言いながらも、今朝のことをユイに話す。
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