In the warm rain【Brack☆Jack3】
 レイは表情を変えずに、コーヒーを一口飲む。


「こんなダウンタウンに女が一人でいること自体、ワケありだって言ったのはあなたでしょ、ミサト」

「まぁ、確かに。素性は聞かないけど」


 ミサトも、カップを両手で包むようにしてコーヒーを飲む。


「ごめんね、巻き込んじゃったみたいで」


 レイはミサトのその言葉に、少しだけ眉を寄せた。

 まるで、予想もしていなかったことを言われたかのように。

 だがすぐに表情をやわらげて、レイはカップをテーブルの上に置いた。


「…これから、どうするの?」


 ミサトは、組んでいた膝を下ろす。


「とりあえずは、仕掛けてきた連中をかたっぱしから片付けて、情報を得るしかないよね。あのふざけたメールをばらまいているヤツが誰なのかを突き止めるまで」

「でも…相手は不特定多数よ。それに、賞金だけが目当ての連中ばかりかも」


 レイの的を得た言葉に、ミサトはがっくりと肩を落とす。
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