君と本気のラブゲーム
「ミッションその1!キョウと仲良くなろう!」
「……何なの、ミッションって。なんか恥ずかしいんだけど」
「だってほら、段階決めていかないと、なあなあになっちゃうかなぁと思って」
帰り道。
嘉乃の家に向かう電車の中で、私たちはそんな会話を交わしていた。
ちなみにこの電車に乗る前に、着替えやら何やら必要な物を私の家に取りに寄った。
こういうとき、学校と家が近いと楽。
制服も着替えて、今は丈が長めのパーカーにデニムのショーパン、ニーソにスニーカー、というなんとも簡単な格好。
だって、部屋でゆっくりしたいのにスカートなんて履きたくないもん。
私も嘉乃も、もう部活を引退しているから、授業が終わればいつもまっすぐ家に帰る。
そして、私たちと同じような生徒は他にも結構いて、電車の中はそこそこ混みあっていた。
私たちは、ドア近くのポールにつかまって立っている。
「それで?仲良くなるって言っても、どうすればいいの?」
ガタンゴトンと揺られながら、私は嘉乃を見つめてそう訊いた。
「え?どうって?」
せっかく気合いを入れたのに、きょとんと訊き返してくる嘉乃。
そんな嘉乃に、拍子抜けしてしまった。
「いや、だって……。そんな漠然と『仲良くなろう』なんて言われても。何もしなければ普通に挨拶で終わるでしょうが。
全力でくっつける、って嘉乃さっき豪語してなかった? 私てっきり、作戦でも考えてるのかと思ってたんだけど……」
ていうか、なにかしら考えてくれないと、自分じゃどうしたらいいのかわからないんだけど……!
男子を落とそうなんて考えたこと無いし、そんなやり方わからない。
「あ、そうか、そうだよね。じゃあ考えよう!私の部屋で作戦会議だ!」