君と本気のラブゲーム

ぐっと拳を握って目を輝かせた嘉乃。


どうしよう、なんかやる気出させちゃったかな……。

無理な要求されたらどうしよう……。

嘉乃だし、なにを言い出すかわかったもんじゃない。


私は早くも自分の発言に後悔を覚え始めていたのだった。


「とりあえず、キョウはまだ部活やってるから夕飯まで帰ってこないし!考える時間はたっぷりあるよ」


そう言ってにっこり笑った嘉乃は、恨めしくも悔しいくらいの美少女だった。


……あーあ、そこに座ってる他校の男子はもしかして今の悩殺スマイルを見ちゃったのかな?

ぽかんと口をあけて嘉乃を凝視してる。

またひとり、犠牲者が…。


私はひっそりとため息を吐いた。


────ふわふわの柔らかそうな黒髪。

形のいい目は、はっきりとした二重。

化粧なんかほとんどしていないのに、これ以上いじる必要性を感じない。

すらりと高い身長は、155センチに届かない私には憧れ。


こんな超美少女な見た目の嘉乃は、当然よく駅や街中では告られたりナンパされたりする。

全部、心底嫌そうな顔で一蹴しちゃうんだけど。



……そんな美少女がいつも傍にいるのに、悲しいかな至って平凡な私がちょっと頑張ったところで、弟くんに響くものなんてあるんだろうか…。


別に、本気で好きになってほしいとは思ってないけど(私だって好きになる気なんて無いんだし)、関わるからにはいい印象を持ってもらいたい。

嘉乃の家族なわけだし。


「……」

私は心の中で再びため息を吐いた。


……せめて、恥だけはかかないように頑張ろう…。


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