君と本気のラブゲーム

「ごめん、アヤ…」


嘉乃はしゅんと眉尻を下げる。


「え」


なんで急に謝ってくるの!?


嘉乃は少し迷うように視線を彷徨わせた後、私の方に顔を近づけてきた。


今は私の机を挟んで私は自分の椅子、嘉乃は私の前の席に座っているから、私の机に嘉乃がひじを乗せて身を乗り出している格好だ。



「な、何?」



滅多に声をひそめるなんてしない嘉乃がここまでするなんて、と私まで緊張してしまう。



「……キス、しちゃった」



ごめんね、2回しか会ってないのに進展しちゃって、と申し訳なさそうに言う。



「……」


え?


キ、ス……?


嘉乃と……、りょ、諒兄が!?




「……冗談だよね?」


「ま、事故だけどね。私が躓いて転んじゃって。支えようとしてくれた諒太郎さんの上に着地しちゃったの。そのときに口、あたっちゃった」



頬をほんのり赤くしたまま、えへ、と嘉乃は笑う。



「じ、事故って…。ちょっと待って、まさか嘉乃、初キスとかじゃないよね!?」



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