君と本気のラブゲーム



「嘉乃ママは本当にかわいいよねえ」


嘉乃の部屋に入りながらそう言うと、何故か嘉乃は可笑しそうに笑った。


「かわいいっていうか、ただポヤンとしてるだけでしょ?あの人頭の中お花畑だもん。ワンテンポずれてるっていうか」


そうかな?


ずれてるっていうより、普通に雰囲気が可愛いって感じだけど。


「しかもお父さんまで同じような人種なもんだから、私未だによくあの二人で恋愛に発展できたなって思うもん」


「へぇー。馴れ初めとか聞いたこと無いの?」


「訊いたことはあるけど、誤魔化されちゃうんだよね。高校生の時から付き合ってたってことくらいしか知らない」


言って、嘉乃はばふっ、とベッドに勢いよく座る。


「高校生のときから!?それって結構すごくない?」


うちの親は、社会人になってから会ったって言ってたし。


「そうなの?でも、とりあえず今もラブラブだよー。あ、でもほら、あんな親だからさ、キョウと結婚してここに住むことになっても楽そうでしょ?全然怒んないし、お母さんもアヤのこと気に入ってるから、仲良くできると思うよー」


「や、だから結婚しないって」


確かに、この家の人たちはみんな温かく私のことを迎えてくれて、もし将来お嫁に行くならこんなふうに優しくてあったかい場所がいいなとは思うけど。


でも、それとこれとは話が別だ。


「えー、キョウ、気に入らなかった?」


「そりゃ、想像通り…、ってか想像以上にカッコよかったのは認めるけど。でも、見た目だけで好きになれるわけないでしょ」




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