君と本気のラブゲーム

会話らしい会話もしていないんだし。

いい声だってことは分かったけど。


「えー?でもキョウから見た目をとったら良いとこほぼ残らないよ?」

「は?そんなこと無いでしょ。普通に爽やかくんだったじゃん」


私にも笑いかけてくれたし、ちゃんと気遣いもできそうで、なんかモテるの分かるなって思った。


「そんなこと言ってられるの、今のうちだと思うよ」


……なんでそんな可哀相な人を見るような目で私を見るんですかね。


「……嘉乃、本当にゲームする気あるの?」


いや、このまま何も無く終えられるなら願ってもないんだけど…。


でも、あれだけ張り切っていたのに、まるでやる気が感じられないんですけど。


お世辞でもさあ、ここは京佑くんのいいところを私に吹きこむところなんじゃないの?


「あるに決まってるじゃん!でも、アヤがキョウに落ちるとしたらあの見た目だって思ってたんだもん。だから出会いに賭けてたのに」


ふてくされたように、クッションを抱きしめて口をとがらせる嘉乃。


「賭けてた割には、性格悪いとか聞かされた気がしますけど」


「……そんなこと言ったっけ?」


「ま、聞かされてなくても一目ぼれとかいう嘉乃の望んだ展開にはならなかったと思うけどね。私そういうの今までないから、そういうタイプじゃないんだと思う」


見た目がカッコイイ人、それだけで騒ぐことはできる。

きゃー、なんとか君とすれ違っちゃったぁ!みたいな。

でもそれって憧れだって割り切っちゃう。

なんて言うんだろう、目の保養?

それ以上近づこうとは思ったことがない。


もちろん、始まりは目の保養でも、そこから中身を知って好きになるってことはあるだろうけど。

ただ、外見オンリーでラブに発展することはなさそうかなっていう。

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