君と本気のラブゲーム
綺深たちと分かれて理系キャンパスを回っていた嘉乃と諒太朗は、歩き出して早々に声を掛けられ、足をとめた。
声の方を振り返ると、5人ほどのグループで、諒太郎の名前を呼んだからには、彼の知り合いなのだろう。
立ち止まった嘉乃たちのまわりは、彼らによってあっという間に囲まれてしまう。
「お前今日来られないんじゃなかったっけ?」
近づいてきたうちのひとりがそう言う。
「…えっ!?ってか超可愛いんですけど!諒、この子まさか彼女!?」
もう一人が、嘉乃の顔を見て驚いたように声を上げる。
「うわっ!マジだ!」
「可愛すぎんだろ!!」
「岬、彼女できたなんて一言もいってなかったじゃねーか!!」
嘉乃は、そんなふうに好き勝手に喚く男たちを睨みつけたい衝動を、必死でこらえていた。
こういう輩(やから)はよくいる。
いつもなら、冷たくあしらってしまう。
……だが、諒太郎の知り合い(友達?)なら、そうもいかない。