君と本気のラブゲーム
「くそー、こんなことになるなら思いついたところで言っちゃえばよかった…。そしてアヤにパジャマを貸せばよかった」
その浴衣がパジャマと形容されることに違和感を感じつつ、私は笑った。
内心、ほっとして。
「あーあ、なんかやる気無くなった。アヤ、もう色気は無いけどキョウにお風呂どーぞって言ってきて。私も髪乾かしたら部屋戻るから」
……色気ないって。
失礼すぎない?
本当のことだけどさぁ…。
「京佑くんの部屋ってどこよ」
いろいろ言いたいことはあるけど、とりあえずもう髪も乾かし終わってやることもないので、嘉乃の言葉に頷いてそう訊ねた。
「私の部屋の隣だよ」
鏡に向かい髪を乾かしながら、声を少し張り上げて嘉乃はそう答える。
了解、ともう一度頷いて見せて、私は脱衣所を出た。
嘉乃の部屋に戻って荷物を置いてから、隣の部屋の前に立つ。
コンコン、と軽くドアをノックすると、中から「はい」という返事が返ってきた。
少しだけドアを開ける。
「あの、お風呂お先に頂きました。次どうぞ、だそうです」
私がそう言うと、勉強中だったのか机に向かっていた京佑くんは、首だけ私の方に向けて、にっこり笑顔を浮かべた。
整いすぎて怖いとすら感じる、あの、笑顔。
「わかった。わざわざありがとう」
「いえ。じゃあ」
私がそう言って退散しようとドアを閉めかけたとき。
「待って」
と、京佑くんに呼びとめられた。