君と本気のラブゲーム
そのまま、閉まったドアに身体を押され、京佑くんは私の顔の横に手を付いた。
異常に近い距離に、何も言えずにただ目を丸くするしかない。
「普通なら、ヒロが俺に風呂上がりの女の子を寄越すなんてありえないんだよね」
「は…?」
京佑くんの言っている意味が分からず眉を顰めた。
「ヒロは、俺が女の子と付き合うのを嫌うから」
付き合う…?
何の話?
「自分が認めた女以外が俺に近づくのを、ものすごく嫌がるんだ」
は…?
え、嘉乃ってもしかしてブラコンだったの!?
「だから、普通だったら、こんなふうに君が俺に近づくことを許すとは思えないんだ。…しかもこんな、お風呂上がりで無防備な君をね」
そう言って京佑くんは、私のまとめ切れずに首にかかっていた髪に触れてきた。
「……っ」
首すじに微かに触れた指先に、くすぐったくて思わず身を竦める。
「ねえ、本当のことを言って?…ヒロは、何を企んでるの?もしかして、君と俺をくっつけようとか思ってるわけじゃないよね?」
「!」
す、鋭い…!
「そ、そんなこと企んでない…。少なくとも私は知らない!」
真正面から見つめられた状態で上手く嘘を吐く自信はなくて、私は掴まれたままだった手首から京佑くんの手を振りほどき、自由になった両手で彼の身体を押し返しながらそう叫んだ。