君と本気のラブゲーム

「じゃあ、ちょっと付いてきて」


そう言って、京佑くんは歩き出した。


私は黙って付いていく。



本当は会うのが少し不安だったけど、嘉乃の言っていた通り、京佑くんは本当に怒っても落ち込んでもいないようだった。

そのことに、少し安心する。




駅を出ると、まだ真っ暗というわけではないが、ぽつぽつと道を照らす街灯の明かりが目立っていた。


帰宅途中のサラリーマンや学生の姿。


行き交う車や自転車。



そんな往来の多い通りを抜けて、京佑くんが「ここ」と言って入っていったのは、大きな公園だった。


昼間は多くの子供が利用しているのだろうが、今は遊んでいる子供はおらず、ただがらんと寂し気にたくさんの遊具が佇んでいた。





「公園?」


「ん。こっち」



京佑くんは私の言葉に振り向くことはせずに前を見たまま頷いて、さらに奥へと歩いていく。


遊具の多い広場を突っ切って行くと、小さな丘に出た。


遊具どころかベンチもない、ただ、背の低い草花が、そよそよと風に揺れているだけの場所。


「あ」


ふと、思い出したように京佑くんは私を見た。


「ちょっと待ってて」


「え」


言い残して、すたすたともと来た道を戻っていく。


……待ってて、って言われたって…。



私はふう、と息を吐いて、京佑くんの後ろ姿から、風になびく草花の方へと視線を移した。


ちょうど、丘の下るほうに、もうほとんど沈もうとしている夕日が見えた。


私は草の上に腰を下ろす。





……ここから、丘の上からだと、すごく、きれいに見えた。




……空が。


……街が。

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