スカイグリーンの恋人
キャビンクルー 関谷 伊織

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・・・・・ 快適な空の旅へいざなう 『グリーン・エアライン』   

     男性キャビンクルーが みなさまの空の旅をお世話いたします

     彼らと一緒に優雅なひとときをすごしてみませんか? ・・・・・






『新規航空会社の設立が相次いでいる。

先ごろ業界に参入した 「グリーン・エアライン」 は、各航空会社が、

客室乗務員経験者を契約社員や短期雇用でコスト削減を進める中、

そのほとんどが新規採用であり、男性に限り募集を行ったことで

注目を浴びた。


通常中型ジェットの場合、一機につき4~5人の乗務員が搭乗するが、

女性乗務員が多い他社と異なり、「グリーン・エアライン」 は

男性三人、女性一人が搭乗している。


また、キャビンアテンダント(CA) の呼称は使わず、

キャビンクルー(CC) と呼ばれるのも

ほかとの区別を特徴付けるものである……』





発売されたばかりの雑誌を広げ、一人が読み上げる声にみなが耳を傾ける。

オフィスは午後の休憩時間、新しい会社だけにスタッフも若い。



「すっごい真面目な記事になってる 嬉しいよね」


「ホント どこも面白がって ”ホスト航空” 

なんて書かれてばっかりだったものね」


「こんな好意的に書いてもらって 誰か手を回したのか?」


「よくわかったね それは僕が取材を受けた記事だ」


「小野寺さん!」



落ち着いた声とともに姿を現したのは 航空本部本部長

30歳代後半の年齢でこのポストに就いている彼の落ち着きは、

実力が伴っているからこそ。

小野寺さんの登場で部屋の空気が変わった。

男性は憧れと尊敬の目を向け、女性はそこにハートマークが加わっている。

小野寺さんの容姿は女性にとって魅力的、見過ごすことはできない。

私も含めてだけど……




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