スカイグリーンの恋人


どこまでカッコイイ大人の男なんだ。

この人から佐名子さんを奪うのは難しいだろうな……

なんて考えていたら、心で呼んでいた人の名前が聞こえてきてドキッとした。



「佐名子も君たちのことを褒めてたぞ 

三人がいてくれたからトラブルが最小限に抑えられた

彼らが守ってくれたと言ってたよ」


「そうですか……僕らも必死だったので」



だよな 絶対チーフを守らなきゃって思った と廉人が言い、

うんうん と心さんも頷いている。



「あの場をなんとかしたくて がむしゃらでした」


「好きな女を守りたいってのは男の本能だ 

誰だって必死にも がむしゃらにもなるだろう」


「はっ?」



それって、僕らが佐名子さんを好きだってこと、小野寺さんも気がつ

いてたのか……

急に居心地が悪くなった僕らへ、小野寺さんが意味ありげに笑う。



「君らと同じだ 好きな女を守りたい一心だった 体が勝手に動いていた 

僕も必死だったからね」 



さらに追い討ちをかけ、とどめを刺した。


 
「ですよねぇ 佐名子チーフを助けたのは小野寺さんですから 

あぁ 愛の力は偉大だぁ……」



廉人が大げさにガクッとうなだれた。

廉人の脇腹を僕が小突く。

心さんが僕の背中を突付く。

顔を見合わせた3人の思いは同じ。

佐名子さんは手の届かないところにいってしまったということ。


怪我を負ったのに幸せそうな顔の小野寺さんに見送られ、僕らは病室を

あとにした。





「ほら 見ろよ」 と心さんの声に空を見上げると、見覚えのある機体が

目に入った。

小さく見えるが特徴から 『グリーン・エアライン』 の機体だとわかり、

みなで頷きあった。

空を見上げながら、いつのまにか明日の仕事の話になっていた。

後ろをむいてばかりはいられない。

そんな思いが明日の話を引き出したのかもしれない。


また誰かを好きになることがあるのだろうか。

できるなら、片思いで終わらせたくはない。

いつかめぐり合う出会いを大事にしたい。

見えなくなった機体を見つめ続けた。





                    ・・・ 終 ・・・







< 32 / 32 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:19

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ボレロ - 第一楽章 -
K.撫子/著

総文字数/181,340

恋愛(純愛)160ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
手入れの行き届いた肌は  薄く差し込んだ昼の日差しに反射して艶を見せていた 彼女の膝頭から ゆっくりと腿の内側へと唇を滑らせながら  気になる取引先の名を口にした 普段日の当たらない 真っ白な足の付け根へと唇がたどり着く頃 ふふっと笑ったかと思うと くすぐったそうに身をよじり  彼女は体の向きを変えた 【プロローグより】 『近衛ホールディングス』 副社長 近衛宗一郎 繊維業界トップメーカー『SUDO』 社長令嬢 須藤珠貴 偶然の出会いが重なり、やがて、かけがえのない相手になっていく それは、ひそやかにはじまった ラヴェルの 『ボレロ』 を奏でるように  
Shine Episode Ⅰ
K.撫子/著

総文字数/113,098

恋愛(純愛)70ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
香坂水穂が、ICPO帰りの捜査官 警視 神崎籐矢に出会ったのは、 夏の暑さもようやく落ち着き、朝夕の風に秋を感じ始めた頃だった。 過去を背負い影のある神崎籐矢と、正義感にあふれ快活な香坂水穂 正反対のふたりは、対立しながらも信頼関係を築き、 公私ともに唯一無二のパートナーになっていく・・・ (一部『ボレロ』の登場人物とリンクしています。合わせてお楽しみください)
恋、花びらに舞う
K.撫子/著

総文字数/36,854

恋愛(純愛)25ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
春の優しい風に吹かれて、はらはらと花びらが舞う 桜に切ない思いを抱える由梨絵に訪れた恋……

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop