羽をくれた君~side陸~【完】
でも。
俺は誰も愛さない。本気にならない。
これだけは言っておかないとマジになられたらやっかいだ。
特にこういう重そうな女は。
「オレは誰にも本気にならない。」
「・・・え?」
「いや、なれねーんだ。それでもいい?」
俺の言葉に奈緒はわけがわからないといった顔つきをした。
「それってどういう・・・」
「まぁ、深い事は突っ込まないで今が楽しけりゃいいじゃん?」
今までの女も、俺の過去には一切触れてこなかった。
俺のように軽い気持ちで付き合ってたからなのか、それとも聞きたくても言葉にできなかったのか。
きっとこいつは後者だ。大人しい性格だし、俺に深入りしてこようなんて思わないだろう。
その方がめんどくさくなくていい。