ラピスラズリの恋人
「それまでは彼女の幸せを願っているだけだったハズなのに、あわよくば自分(オレ)が幸せにしたいと思ってしまったんです」


ジョッキに口を付け、すっかり泡が消えたビールを口に含む。


「それからは彼女の傍にいる方法ばかり考えて、結婚を意識したのも本当に自然でした」


「なるほど」


「今じゃもう、何があっても彼女を手放す事なんて考えられないくらいです」


フッと笑った織田さんが、俺を試すような視線を向ける。


「貴島さんは心から愛しているんですね、彼女の事を」


他人に言われるとやけに照れ臭い言葉に恥ずかしさを感じながらも、彼と視線を交えたまま迷う事無く大きく頷いた。


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