ラピスラズリの恋人
“最愛”よりも愛おしいと、本気で思った。


こんなにも健気な事を口にする恋人が、ただただ愛おしくて堪らない。


「……理人さん?」


不本意にも言葉を失っている俺を、瑠花が怪訝そうに見上げている。


そんな彼女に笑みを向け、前髪を掻き分けて額にそっと唇を落とした。


「ありがとう、嬉しいよ」


「良かった……。勝手に入っちゃうの、少しだけ不安だったんです。でも、理人さんの帰りが待ち遠しくて、ドキドキしちゃいました」


ホッとしたように微笑んだ瑠花が、どこかくすぐったそうに笑う。


こんな日常(コト)が未来(コノサキ)にあるのなら、未来の自分(オレ)は間違いなく幸せだろう――…。


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