ラピスラズリの恋人
いつまでも離れようとしない俺に、瑠花は戸惑いを含んだ笑みを向けながらも付き合ってくれていた。


「そういえば、萩野さんは何も言わなかったんだけど……」


不意に浮かんだ疑問を零すと、彼女が俺からそっと離れた。


「萩野さんには、あたしの事は内緒にして貰うようにお願いしてたんです」


フフッと笑った瑠花の瞳は、悪戯っ子のように輝いている。


「昨日の夜は英二さん達に携帯を奪られちゃって話せなかったから、理人さんの事が余計に恋しくなっちゃって……」


彼女はそこまで話すと、自分の手の平を広げて見せた。


「これの出番かな、って」


そこには、この部屋の合鍵が収まっていた。


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