ブルーと副総統
ピロートーク2
 控え室で、副総統に可愛く迫られ、椅子に座ったまま副総統を乗っけて、ついついやってしまった。なんというか、それだと二人とも収まらないというか、より一層飢えてしまったというか…。
 なので、場所を副総統が仮住まいしているホテルに移しての第2ラウンド終了後、ちょっとまったりとしながら二人で、ぼーっとしてた。

 ぼーっとしているとはいえ、さわさわとお互いの体をなんとなく触ったり、甘噛みしたり、深くはないけれどもキスを頻繁に交わしたり、俺は副総統の軽い髪の毛を撫でたり梳かしたりして、なんだろ、女の人って全身からいいにおいがするんだよなぁ、どっからこれは出てるんだろう?とか、考えていた。

「ね。ぶるー、何考えてるの?」
「副総統って何で甘いにおいがするんだろって」

 なんか、おいしそうでやわらかくて、コロンとかじゃないのになんだろこれみたいなにおい。

「ぷ。説明しようと思ったら説明できるよ。シャンプーとかさ、いわゆるフェロモンって言われる物質だったりさ。でもそんなこと、ぶるーは知りたいわけじゃないんでしょ?」
「うん。なんか、探れば探るほど、だんだんわかんなくなって、深くてわくわくする」
「もー。何でそんなうれしいこというのよ、ぶるーは」

 うれしいのかな。そんな訳のわかんない言葉が。
 俺は副総統が初めての女だから、女の人の体…気持ちのいいこととか、全然わからないからしっかり知りたいだけなんだけど。

「副総統は、言葉が好きだよね」
「あー…そうかな」
「うん。最初のときもだけど、言葉にすごい反応する感じがした」
「うーーーん。そうかもね。あたし、組織に拾われたときから、あんまり言葉をもらうことが少なかったから」
「そうなの? 最初から?」
「うん。ってか、ピロートーク向けの話じゃないけど聞くの?」

 若干笑いながら、副総統が俺の顔を撫でたけど、目が笑ってない。実はなんかいろいろあるんだろうな、この人。

「いやなら聞かないけど、俺経験ないからさ、副総統が嫌がることとか、気持ちいいことってなんだろって思ってるところ」

 副総統は少し俺の瞳を覗き込んでから、また笑った。今度はちゃんと瞳の奥がきらっとしてる。

「徐々に話してあげるよ。ぶるーがあたしに付き合ってくれるなら」
「いや付き合うけどっ。あっ!!! 絶対聞きたいことがあるんだ! 副総統、そろそろ、携帯の番号とアドレス交換してよ」

 俺はガバっと起き上がって、マッパのままで、そのままバッグをごそごそとし出したら、副総統が『何でそんな必死なの。そんなにあたしの連絡先知りたかったのね』と、腹抱えて笑ってた。
 こっちはまじめに聞いただけなのに、なんか大笑いしてくれて、俺もうれしくなった。
 もっと彼女の心の底からの笑いを引き出せるといいな。
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