恋に恋して恋をする。
「あ、もうちょいで取れそう」


奏くんは床に突っ伏せて棚の下をまさぐっている。


うぅ…申し訳ない。


「ホントごめんね…」


「んー。大丈夫。
あ、取れたわ」


奏くんはジャーンっとスマホを見せてくれた。


「や~!ありがとう~!」


私は今度こそ落とさないように両手でしっかりと受け取る。


その時、奏くんの指先が少しだけ触れてドキドキした。


いかんいかん。ホントにときめき偏差値低すぎるぞ……


「ところで、小島さんどうかしたの?」


「え?」


「俺、保健委員だから。
どっか怪我したなら見ようか?」


そう言われて自分が保健室に来た目的を思い出す。


いや、でも、バレーボールが顔に当たって鼻血ブーになりかけたなんて、恥ずかしくて言えん……









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