ノータイトルストーリー

Case:船頭_phase02






それぞれの『船』は『船員達』を乗せて大海原を進む。






それぞれの『速度』でそれぞれの『方向』へ…






ひたすらに漕ぎ進め、行き急ぐが故に荒波に






呑まれ沈んでいく『小さな船』…






また、逆にそれをものともせずに、





突き進む『大型船』





沈んでしまった『小さな船』の船員達は、





生き残れたのだろうか?





幸運にも生き残れた者は





何を思うのだろうか?






『幸運だった』と安堵し胸をなで下ろす者。





『何がいけなかったのか?』と真理を追求する者。





『私は生かされた。これは運命だ』と信じ、





何かを成し遂げようと決意をする者。





『すべてを失った…』と後悔をする者。





そして後悔し自戒する者。





または後悔の先に何かを見出す者。






『大型船』に乗り換えようとする者。






かたや突き進む『大型船』の





船員は何を思うのだろう。





救いの手を差し伸べるのか?







『小さな船』で荒波に挑んだ






船員を無謀だと嘲笑するのか?





それとも、明日は我が身と





冷静に分析をするのだろうか?






いずれにしても、






所詮は『人』自然の力にはかなわないことも






あるだろうと楽観的に受け止めることが出来るのだろうか?





私は『風の向くまま、気の向くままに』舵を取り進む。






願わくば、それぞれの『小さな船』が





穏やかな日々続いて行って欲しい。






時には気まぐれに『港』寄り道をし、






体を休め、辿って来た航路、






これからの航路を想像するのも良いだろう。






また、雨上がりの『湿った空気』の中、






甲板に寝そべり雲の切れ間から見える、





満天の星空を眺め





『決して忘れてはいけない大切なもの(者・物・心)』





を確認するのも良いだろう。





私の大好きな歌の歌詞の中には





こんな事が歌われているからだ。





『知ってるかい?忘れてはいけない事が、何億年も昔、星になった。』






『どんな時代のどんな場所でも同んなじように見えるように』と。






しかしながら、『人』は下ばかり見てしまう。






それは『負い目』であったり






『悩み』であったり重荷を、






背負い俯いてしまう者。






中には自分より下にいる人間を






確認し『優越感』『存在価値』に浸る者。






自分自身を『慰める』者。






この多様性こそが『人』なのだろう。






最後に『風』は雲を運び、





『雲』は空を覆い、時には『雨』を降らす。






雨上がりには、





『忘れてはいけない大切なもの』




が見えるだろう。





しかし『湿った空気』は





また『風』を呼び『雲』や『雨』だけではなく、





時には『嵐』を呼んでしまうこともある。





穏やかな空の下、矛盾はするが、




輝く星々に目と心を奪われ過ぎぬよう、





『旅』を続けて行きたいものだ…




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