涙ペットボトル




走って走ってこんなに疲れるのに


なんでか止まらない。



優太くんの笑顔を見て安心したいんだ。



そう思って、病院へ向かった。




………………。




「はぁはぁ、はぁ、」


息が整わないよ。



「あ!あかり!」


「か、かのん、ちゃん」


「大丈夫?落ち着いて。大丈夫だから」


かのんちゃんは、そういって
あたしを優しく包み込んでくれた。



「うん、大丈夫。絶対大丈夫だよね」


「うん。優太くんは、殺しても
生きるタイプの人だからさ」


「なにそれ」


正直笑う気にはなれないけど

かのんちゃんが一生懸命はげまそうと
してくれているから、

ちょっと安心した。


「ほら、いくよ。三階の緊急手術室に
いるから」



「うん」


そういって、手術室に向かった。




「…ヒロくん!」



長いすに座っていたのは、ヒロトくんだった。


「あ、かのん。あかりちゃんは?!」


「こっちこっち、」


「あ、ヒロトくん。」


「あぁ、あかりちゃんさっきは電話で
ごめんな。俺も、なんか、不安で。

2時間してもでてこないんだ」


「2時間…」



あたしも一気に不安がつのる。



「ゆ、優太くんのことだもん。

絶対、肘とか骨折して『いてぇー!』
とか言いながら出てくるよ!ははっ」


「そうだよね!『みんな、来てくれん
かよー?!』みたいな?」


「あはは、そうかも」


ぎこちないけど、不安を消したくて
何度も笑った。



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