Special Edition


自宅がある自社ビルの地下駐車場へ。


何事も無いかのように車を滑り込ませ、

いつもと変わらぬ“プライベート駐車場”へ

ゆっくりと愛車を留めた。



「……要?」


不思議そうに俺に視線を向ける杏花。

そんな彼女に、


「降りないのか?」

「へ?」

「歩いて行くけど」

「えっ?そうなの?!」


驚愕の表情の杏花。

……無理も無い。

今まで歩いて食事に行ったことなんて無いのだから。


「ん、だからとりあえず、降りようか」

「……うん」


彼女は戸惑いながらも車から降りて……。

俺は彼女の肩を抱き寄せ、歩き出した。



一旦、オフィス内を通り

通用口から地上へと出ると、

オフィス街の窓が夕日に照らされ、

美しい黄昏色に染まっていた。



「要?どこに向かってるの?」

「ん?……極上の店……かな?」


俺は不敵な笑みを浮かべ、

より一層彼女の肩を抱き寄せ、

ゆっくりとオフィス街を歩み進めた。


< 143 / 477 >

この作品をシェア

pagetop