Special Edition

彼女の言葉を真に受けてはダメだ。

だって彼女は、俺以外にも気になる奴がいるのだから。


俺は冷静に言葉を紡ぐ。

変な方向に会話が流れないように……。


「杏花はさっき、俺に聞いたよな？『女』としては見てくれないのかって」

「………うん」

「俺はいつでも杏花の事を『女性』としてちゃんと見てるぞ？」

「………ホント？」

「あぁ、何を根拠にそう思うんだ？」

「………だって、さっき、………キスしてくれなかったもん」

「それは………」


『女』として見てなくて出来なかったんじゃなくて、

『女』としか見れなくて出来なかったのに……。


どうして、俺らはいつもこう空回りするのだろうか？


それに、俺が杏花を『女』として見てたとしても

杏花が俺を『男』として見て無かったら意味が無い。



「杏花はどうなんだ？」

「えっ？」

「俺の事、今でも『男』として見てるか？」

「そんな事、当たり前じゃない。ってか、要しか『男』の人として意識してないよ？」

「それ、………マジで？」

「………うん/////」


再び顔を埋めた杏花。

態度から察すると本当らしい。

元々嘘を吐けない性格だから、そこは確信が持てる。


じゃあ、さっきの会話は………？