Special Edition
【京夜side】
12月下旬の土曜日の午後。
俺と希和は俺の実家へと向かっていた。
「京夜様」
「ん?」
「何か嫌な事でもあるのですか?」
「………」
相変わらず鋭い彼女。
まぁ、毎日ずっと一緒にいれば必然的に分かるか。
「別に」
彼女には今夜の事を話していない。
どう切り出せばよいか悩んでいたら、当日になっていた。
今日は華道家・桐島蘭清のクリスマスイベントに招待されており、
彼女は体調不良で連れて来れなかったとでも理由を付けて
俺1人で行こうとしていた。
けれど、昨日母親から連絡が入り、
桐島氏への手土産を取りに来いという。
しかも、彼女のドレスを用意したと言うではないか。
………先に手を回すとは、姑息な真似をしやがって。
そもそも、彼女の存在をメディアが放っておく筈が無い。
前回のパーティーの際は両親に頼み込んで伏せて貰ったが、
今回は恐らくそうは行かないだろう。
必然的に彼女の存在が知れ渡ってしまう。
はぁ……どうしたものか………。