Special Edition
「桐島さんがどうしても逢いたいっていうものだから……」
「逢いたいって………希和に?」
「そう」
「………ハイッ?!」
俺をじっと見つめていた彼女は、母親の言葉に驚愕した。
そして、俺と母親を交互に視線を送り、
挙句の果てには俺の袖を掴みにかかる。
………だから、不機嫌オーラ全開だったのに。
「京夜様、どういう事ですか?」
「知らねぇーよ!俺の方が聞きたいくらいだ」
「あの、桐島様とはどんな方なのですか?」
「桐島さん?」
「はい」
彼女は俺の袖を掴んだまま、母親の顔をじっと見据えた。
「華道家・桐島蘭清。華道会の異端児と呼ばれ、その生け姿は見る者を魅了する神の手の持ち主。この温室のプロデュースもして頂いてるわ」
「えぇ~ッ?!」
この温室を?
それは初耳だ。
希和は温室内を見回し、
そして、俺の顔を見つめて何かを訴えようとしている。
「どうかしたか?」
「………不機嫌の原因はこれですか?」
「……………あぁ」
「うぅっ………」
漸く事の重大さが解ったらしい。