Special Edition
「そんな目をしても無駄よ」
「やっぱり、何か企んでんだろう」
「フッ、そういう所だけは妙に鋭いわね」
「余計なお世話だ。………で?何を企んでんだ?」
彼女の気持ちを知った上で俺が覚悟を決めたのが先々月。
一度は完全に諦めようと決意を固めた俺だったが、
彼女のストレートな気持ちに俺の心が完全に解けたんだ。
けれど、その時既に俺は彼女とは別の女性と結婚しようと決意していて……。
両親は勿論、希和にも迷惑を掛けているのは事実。
俺の気持ちが希和にあるとしても、世間はそう甘くない。
表面上に目を惹く話題に注目が集まるのも事実で……。
恐らく、そこら辺の事もあって両親が動いたに違いない。
きっと、見るに見かねて………。
俺は半ば呆れながら珈琲を口にすると、
「私もお父さんも、順序は気にしてないわ」
「へっ?」
「『御影』だからとか、気にしなくていいのよ?」
「それ、どういう意味?」
「だから、希和さんに逃げられないように、赤ちゃんでも作っちゃえばいいのよ」
「ブォッ……ッ………」
澄ました顔から繰り出された爆弾にまんまとやられてしまった。