Special Edition
「母さんッ!!なんつう話をしてんだよッ!!」
「あらやだ、だって本当の事じゃない。いい歳した男女が同じ屋根の下に住んでるのよ?可能性的には十分考えられるでしょ?」
如何にも正論だと言わんばかりの口調で捲し立てる。
俺が『縁談』を取り消したいと言い出した時の両親の表情を今でも忘れた訳じゃ無い。
ただ、彼女とはゆっくりじっくり『愛』を育みたいと思っている。
変に焦って後悔しない為にも、
彼女と二人三脚でゆっくりと歩んで行きたい。
今はやっと想いを確かめ合ってる最中なのだから、
例え両親であっても、無言で見守ってて欲しいものだ。
「………そのうちな」
これが今言える最大限の歩み寄り。
彼女をそういう対象に見ていない訳でもないし、
ましてや、結婚したくない訳じゃ無い。
それに両親の期待を裏切ろうと思ってる訳でもないし、
色々考えて出た言葉がそれだった。
彼女にプロポーズ的な言葉を伝えてはあるが、
実際、指輪を渡した訳では無い。
単なる口約束。
ただ言葉通り、24時間傍にいて欲しくて
彼女には警備会社を退職させた。
公私共に彼女が傍にいる日常に幸せを感じている。