Special Edition
年末年始の行事の段取りを再確認し、
俺もまた着替えをする為、部屋を移動した。
実家の2階にある自室。
白とダークブラウンを基調としたモダンなデザインの室内。
その部屋の奥に衣裳部屋があり、
実家で着替える際はいつもそこに衣裳が用意されている。
俺はジャケットをベッドの上に放り投げ、
カツカツと靴音を立てながらそこへ向かった。
レース地のシェードから陽が差し込んでいる中、
1着の衣装が掛けてあった。
先週『LISSE』で試着したスーツ。
銀糸が織り交ざっているような生地のダークグレーの衣装。
俺はそれを確認してから、シャワー室へと向かった。
シャワーを浴び終えた俺は髪を乾かし、鏡の中の自分を見つめる。
今まで、今日のように招待を受け赴く事はあっても
今日ほど完璧に着こなそうと考えた事は無い。
隣りに女がいたとしても、
全く気に留める事が無かったからで……。
けれど、今日ばかりは違う。
前回のパーティーの時はワクワクはしたが、全く別物だ。
今回は大切な女性をエスコートする訳で……。
どんな髪型がいいだろうか?
髭はちゃんと剃れてるよな?
変な事ばかり気になってしまう。
俺は未だかつてないほど緊張していた。