Special Edition
ブローした髪を軽くワックスでアレンジし、
肌が乾燥しないようにローションを施し、
最後に愛用のパフュームをほんのりとつけた。
そして、Yシャツ、ネクタイ、スラックスと
次々と『御影京夜』を作り上げる。
カフスボタン、ネクタイピン、ベスト、ポケットチーフ。
………鎧とも思える、フル装備だ。
そして、やはり最後は腕時計。
俺は衣裳部屋のガラスケースの引き出しを開け、
中からスーツに合う時計を吟味し始める。
ヨシ、今日の相棒はコイツだ。
少しゴツい感じをチョイスし、気分を鼓舞する。
ジャケットを手にして自室を出ると、
「京夜様、奥様は1階のリビングにいらっしゃいます」
「ん」
自室の前で待機していた使用人に促され、母親の元へ。
リビングへ顔を出すと、
「あら、良く似合ってるじゃない」
「当たり前だろ、誰だと思ってんだよ」
「もう、そういうナルシストな所、直さなと希和さんに嫌われるわよ?」
「余計なお世話だ」
「全く、ホントの事でしょう?」
「チッ!…………で、希和は?」
「そろそろじゃないかしら?誰か、見て来て頂戴」
「はい、承知しました」