Special Edition
桐島氏がステージ上で生け始めると、
会場からは歓声と拍手と、フラッシュの嵐が湧き起こる。
そんな中、俺は隣りに座る彼女に声を掛けた。
「さっきからずっと見てるけど、どうした?」
「あっ………あの………」
「…………ん?」
希和は何だかうっとりとした表情で見つめていた。
――――――家元夫婦を。
ッ?!
もしかして、夫婦じゃなくて、あの男に見惚れてるのか?!
視線の先は相変わらず家元夫婦の円卓。
しかも、彼女の目からは『女』特有のビームが出ている。
俺はこういう視線には敏感な方だ。
今まで嫌と言うほど味わっている。
完全に恍惚な表情の彼女の手をギュッと握り、
「おい」
「………はい?」
「どこ見てんだよ」
「へ?」
更にギュッと握りしめて彼女に鋭い視線を浴びせた。
すると、一瞬で凍りつく希和。
俺の冷視線に耐えれる奴がいる筈ない。
「浮気か?」
「へ?」
「俺以外の男に見惚れてただろ」
「ッ?!………ち、違いますよ!!」
「………どうだか」
「ホントですって~!!」