Special Edition
こんな完璧そうな人でも嫉妬をする。
それも、妻の愛情を知りたくて無理やりに。
でも、それはお互いに築き上げて来た暗黙の了解。
彼の口調からは、奥さんもまんざらでは無い素振りなようで。
きっと、そうやって『夫婦』の時間を大切にして来たのだろう。
『恋人』ではなく、『夫婦』という絆。
彼の言葉に自然と納得していると、
「普段からスキンシップは大切ですからねぇ」
「………はぁ~」
これ以上無いほどに不敵に微笑む家元。
それは、いたずらっ子のように何かを企んでいるようなそんな顏。
彼の言う『スキンシップ』とは、
きっとかなり強引で、しかも凄く濃密な事を示しているに違いない。
………俺にも出来るだろうか?
ハードルが高いなぁ………。
そんな会話をしていると、スタッフに声を掛けられステージ上へ。
そこには、一連の花であしらわれた彼女が立っていた。
しかも、嬉しそうに俺を見つめている。
彼女の笑顔が絶えないように、
俺も家元のように努力をしないとダメだって事か。