Special Edition


「肩が痛むのか?」

「へっ?」

「古傷がある事は知っている」

「ッ?!」

「かなり薄着だったし、冷えて痛みでも出て来たか?」

「…………あっ、いえ。痛みはありません」

「じゃあ、……………傷痕が気になって、ずっと気にしてたのか?」

「…………」


俺が気付いていた事に動揺を隠せない希和。

俺の視線に耐えかねて俯いてしまった。


そんな彼女の腕を掴んで、


「床じゃ冷えるだろ、こっちに座れ」

「ッ?!////」


俺は彼女の腕を手繰り寄せ、横に座らせた。

彼女が座れるように少し移動したが、

彼女が座れるギリギリの幅を空けただけ。


そんなちょっぴり狭いスペースに彼女は居心地悪そうにしている。

身体を縮込ませるように俯く彼女を見下ろし、

俺は必死に念じながら彼女の顎に指を掛けた。



「俺はこっちだ」

「ッ?!////」


いつもなら真っ直ぐ見つめる瞳が今は潤み、そして泳いでいる。

そんな彼女の心の扉をノックしようと、俺は勇気を振り絞った。


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