Special Edition
すぐ隣りにいる筈の姉貴の姿が無い。
俺はすぐさま辺りを見回すと――――。
ッ?!
おっ、おいッ!!
姉貴は何をやってんだ?!
姉貴は事故車両や現場を携帯で写真を撮っていた。
俺はすぐさま駆け寄って、
「姉貴、恥かしいからやめろよっ!」
「はぁ?何言ってんの?」
「何って……」
「警察が来る前にコイツが逃げたらどうすんの?口で説明したって、証拠不十分になるだけよ!だったら、出来る事をしないでボーっと眺めてる方が恥ずかしいじゃない!!」
キッパリと言い切った姉貴。
正当論を述べた姉貴に同調するように
その場にいた男性陣が事故車両から運転手を引き摺り出した。
運転手は気が動転してあわあわしていた。
恐らく、事故後のパニック症状だろう。
すると、小川医師は女性だけでなく、
運転手の男にも異常がないか確認し始めた。
医師にとっては、皆等しいのだと……。
その後、到着した救急車に女性が乗り込み、
小川医師が救急隊員にこう告げた。
『意識レベルは明瞭です。車両接触による上腕骨遠位端骨折と思われますので、簡易的な固定のみ応急処置をしておきました』