愛するが故に・・・
俺は、会場を一度抜けて、藤田に電話をかけた。


「俺だ。理香は今どうしている?

 護衛の人数を増やしておけ。」


藤田は理由を聞くことはなく、承知しましたと言って電話を切った。

念のためだ。

もし、本気で会長が何かしてきたとしたら、あいつらとて何もできまいが、

いないよりましだろう。


今の俺には、理香がいなくなるなどということは考えられない。

確かに、会長関連の女と結婚でもすれは、

俺のこの世界での地位は不動のものとなるだろう。

しかし、女の力で上に上がるなど馬鹿げたことは考えたくもない。

俺は俺の力で上に行く。

そして、それには理香の力が必要なんだ。


俺の力の源となる、理香が…


俺は、そんなことを考えながら、会場に戻り、他の連中と談笑しながら、

パーティーの夜は終わった。
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